- Title ：
- Aspirin Versus Clopidogrel as Single Antithrombotic Therapy After Transcatheter Aortic Valve Replacement: Insight From the OCEAN-TAVI Registry
- TAVI後アスピリンとクロピドグレルが予後に与える影響について
- About ：
- TAVIは、あらゆる外科的手技リスクの大動脈弁狭窄症患者において確立した治療方法となった。しかし、TAVI後の至適抗血栓療法について明確なエビデンスはない。TAVIを受ける患者は高齢でフレイルが強く、出血性リスクが高いため、より出血に配慮した抗血栓療法が求められる。本研究では、TAVIを受けた患者の抗血小板薬として、アスピリンとクロピドグレルの臨床成績を比較することを目的とした。
OCEAN-TAVI registryに登録された国内14施設においてTAVIを受けた患者2588例を解析した。そのうち術後抗血栓薬を内服していない患者、抗血小板薬二剤併用療法の患者、バイアスピリンあるいはクロピドグレルを内服していない患者計1759例を除外した。その結果、TAVI後にアスピリンまたはクロピドグレルの投与を受けた829例を同定し、まず抗凝固療法の有無で層別化した。傾向スコアマッチング法を行い、アスピリン内服群とクロピドグレル内服群の患者背景をそれぞれ揃えた。
抗凝固療法を行っている患者において全死亡は、両群間に統計学的な有意差は認めなかった。一方、心血管死は、アスピリン群：8.5％、クロピドグレル群：2.7％、log-rank P=0.03とクロピドグレル内服群で有意に低かった。また、抗凝固療法を受けていない患者においても全死亡は両群間に統計的な有意差は認めなかったが、心血管死はアスピリン群：18.0％、クロピドグレル群：5.2％、log-rank P=0.02とクロピドグレル内服群で有意に低かった。心血管死の死因を解析すると、抗凝固薬内服の有無に関わらずクロピドグレル内服群において、脳梗塞や心筋梗塞、突然死などの虚血性イベントの減少が心血管死の低下と関連していた。一方、出血性合併症は両群に有意差を認めなかった。
以上より、抗凝固薬内服の有無に関わらず、クロピドグレル内服により心血管死を有意に低下させること、その要因として出血性合併症の発生頻度には差を認めなかったものの、虚血性イベントの減少が関与していたことを本研究で初めて示した。
- Author ：
- Kobari Y, Inohara T, Saito T, Yoshijima N, Tanaka M, Tsuruta H, Yashima F, Shimizu H, Fukuda K, Naganuma T, Mizutani K, Yamawaki M, Tada N, Yamanaka F, Shirai S, Tabata M, Ueno H, Takagi K, Watanabe Y, Yamamoto M, Hayashida K. Aspirin Versus Clopidogrel as Single Antithrombotic Therapy After Transcatheter Aortic Valve Replacement: Insight From the OCEAN-TAVI Registry. Circ Cardiovasc Interv. 2021 May;14(5):e010097. doi:10.1161/CIRCINTERVENTIONS.120.010097. Epub 2021 May 18.
