構造的心疾患(SHD)カテーテル治療の多施設レジストリーグループ『OCEAN-SHD研究会』
Optimized CathEter vAlvular iNtervention Structual Heart Disease

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循環器での二刀流!? 〜InterventionistとImaging physicianであることの意義〜

2024年3月18日  著者:堀田 怜(札幌心臓血管クリニック)  若手Dr.より会員のつぶやき


今回デンマーク王立大学病院  留学中の小張先生より若手ブログのバトンをいただきました。

札幌心臓血管クリニック 堀田怜です。

2014年に和歌山県立医科大学を卒業し、神戸市立医療センター中央市民病院、榊原記念病院で循環器の基礎・画像診断・カテーテル治療について学びました。

八戸先生にお誘いいただいたこともあり、2020年から札幌心臓血管クリニックに勤務しております。

Interventionとimaging(特に心エコー)を専門とし、循環器集中治療(Impella などのMCS)・心臓リハビリなども積極的に携わっています。

今回は私の経験から、SHD治療に携わる若手が imagingを学ぶ意義について考えてみたいと思います。

弁膜症に限らずカテーテル治療と外科手術の根本的な違いは構造物を直接目視できるかどうかであり、Interventionistは様々なimaging modalityを駆使して間接的に構造物を可視化し、チームでそのイメージを共有する必要があります。

さらに、治療が複雑になればなるほど、”画像の読み” は重要となり、特に治療中は透視・エコーはもちろん術前のCTやMRIなどの情報も統合し、素早く状況判断をする能力が問われます。

この能力は、日々のトレーニングにより培われることは間違いありませんが、2Dの画像を3Dで統合し理解するにはある程度の経験と時間を要することは言うまでもありません。

TAVIを見てSHD治療に携わりたいと循環器内科を選んだ私にとって、カテーテル手技と画像診断・解析の方法を学ぶことは自然な流れでしたし、今後もその流れは変わらないと思います。

循環器を始めた時は術者になるためにカテーテル手技を上手くなることを考えていました。しかし当時の指導医であり私をエコーの道へと導いて下さった太田光彦先生(現 虎ノ門病院 循環器内科)から「SHDをやりたいならエコーをできるようになれ」と指導いただき、その後はひたすらエコーやCTの解析を学びました。

ちょうどのその頃、大谷翔平選手がメジャーリーグへと移籍することが話題となり、二刀流を続けるのかが注目されていました。幼少期から野球少年だった私にとっては、二刀流は凄いことであり憧れでもありましたが「じゃあ自分は循環器で二刀流をやろう」と心に誓い、その後もトレーニングを積み、その経験がTAVIの術者となってからも役に立っていると感じます。

特にImaging physicianとしての視点は、合併症の早期発見、治療効果の判定、正確な方針決定を可能にしていると思います。特にM-TEERなどでEchocardiologistとして手技に参加する時も、術者の求めていることが言葉を交わさなくても理解できるようになり、こうした積み重ねが手技時間の短縮にも繋がっています。

<二刀流の1日>

①MitraClip術中の経食道エコー

② 僧帽弁形成の仕上がりを確認   

③ 術者としてTAVIを施行

各種 modalityのfusion技術、3Dプリンターによる模型の作成やVR技術を用いた治療シュミレーションなどImaging modalityは日々進化しており新しい技術を学び、より良い治療につなげる努力をこれからも継続していかなければなりません。

大谷選手がかつて二刀流は無理と言われながらも、それを跳ね除けて大躍進した北海道で循環器の二刀流を始められたことも何かの縁かもしれません。

今後は、海外留学し更なる知識・技術の向上を目指していきたいと思っています。またその一方で、InterventionistとImaging physician の二刀流という立ち位置をこの分野において確固たるものとして、SHD領域を牽引していけるよう、引き続き研鑽を積んでいきたいと思います。