構造的心疾患(SHD)カテーテル治療の多施設レジストリーグループ『OCEAN-SHD研究会』
Optimized CathEter vAlvular iNtervention Structual Heart Disease

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Title :
Clinical Impact of Preprocedural Moderate or Severe Mitral Regurgitation on Outcomes After Transcatheter Aortic Valve Replacement. Can J Cardiol. 2019 Dec 31:S0828-282X(119)31548-X.
About
背景: 経皮的大動脈弁植え込み術 (TAVR)の僧帽弁逆流症 (MR)改善への影響はわかっていない. 有意なMRとTAVR後のその改善における臨床的意義を検討するためにこの研究が組まれた.
方法: OCEAN-TAVIレジストリーに登録されている1,587人が評価された. 術前MRがmild以下は1,443人 (90.9%), moderateもしくはsevere MRが144人 (9.1%)認めた.
結果: 術前のmoderateもしくはsevere MRはTAVR後1年 (adjusted HR 1.85, 95% CI 1.20-2.84; P=0.005), 2年 (adjusted HR 1.64, 95% CI 1.15-2.34, P=0.007)の全死亡率リスク上昇と関連していた。TAVR後6か月にて術前moderate or severe MR患者の77.4%でMRの改善を認めた. 多変量解析では, 心筋梗塞の既往がないこと (OR 8.00, 95% CI 1.74-36.8; P=0.008), 術前のβ遮断薬内服 (OR 2.71, 95% CI 1.09-6.70; P=0.031)がTAVR後6か月のMR改善と関連していた. MRの改善した患者はMRが不変もしくは悪化した患者と比べて有意に心不全入院が少なかった (11.6% versus. 30.8%; P=0.007).
結論: 術前moderateもしくはsevere MRはTAVR後2年の全死亡率のリスク上昇と関連していた. TAVR後6か月にて大部分の術前moderateもしくはsevere MRの改善を認めた. MRの不変, もしくは増悪は心不全入院率を上昇させた.
コメント:
術者の経験の蓄積やデバイスの改良に伴い, TAVRの成績は安定し, 対象も中等度リスク, 低リスクへと拡大している. そのような中, 大動脈弁狭窄症 (AS)にMRが合併している患者も度々認める. 外科手術はASのみならず, 弁形成等により直接同時にMRへの治療介入ができるが, TAVRのみではMRへの治療介入ができない. 今研究ではASにMRが合併した患者の長期予後, MRの変化を検討し, 術前moderateもしくはsevere MRはTAVR後2年の全死亡率のリスク上昇と関連していたことを示した. またTAVR後6か月にて77%の高度MRが改善し, その関連因子を突き止めた. MRが不変もしくは増悪した場合は有意に心不全入院が増加することも示した. AS, MRの複合弁膜症へのTAVRの妥当性を示し, COAPT trial (1)の結果も踏まえ, TAVR後MRが改善しない場合はMitraClip (Abbott Vascular, Santa Clara, CA)等経皮的僧帽弁形成術の早期介入が検討される.
Author
(1) Stone GW, Lindenfeld J, Abraham WT, et al. Transcatheter mitral-valve repair in patients with heart failure. N Engl J Med 2018;379:2307-18.

三浦 Dr.