構造的心疾患(SHD)カテーテル治療の多施設レジストリーグループ『OCEAN-SHD研究会』
Optimized CathEter vAlvular iNtervention Structual Heart Disease

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MitraClipの国内市販後調査500例

2021年7月3日  著者:湘南鎌倉総合病院 水野 真吾  MitralSHDの最新話題


MitraClipの国内市販後調査500例

僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation, MR)は主に器質性と機能性に分類される。経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip)は、カテーテルによる低侵襲治療であり、高齢者や開心術ハイリスク症例の器質的MR、心機能が低下し心不全に対する内服加療を行っても高度の逆流が残存する機能性MRなどが適応となる。MitraClipは2018年4月より国内での臨床使用が可能となり、現在までに3000例以上の症例に対して治療が行われている。最近、2018年4月から2019年1月までに登録された国内開始500例に対する実臨床における1年後の治療成績(市販後調査)が発表されたためここでご説明します。

平均年齢77.9 ± 9.5歳、僧帽弁置換術に対するSTS score 12.0 ± 9.7、機能性MR 71.6%、平均手技時間134.8 ± 60.5分
1. Primary endpoint
・急性期手技成功(退院前のエコーにてMR grade≦2) 91.13 %
・30日時点での弁尖片側把持 1.21 %

画像1
国内500例の市販後調査の結果は、海外における大規模試験と遜色ない結果であった。

2. 1年後の僧帽弁閉鎖不全症重症度
器質的MRでは83.1%、機能性MRでは90.1%が2度以下を維持できていた。

画像2 mizuno

3. 1年時の総死亡
全体 14.9% (器質的MR 11.6%、機能性MR 15.8%)
画像3 mizuno
国内500例の市販後調査の結果は、海外における大規模試験と遜色ない結果であった。

4. 1年時の総入院
全体 32.2% (器質的MR 31.4%、機能性MR 32.5%)
画像4 mizuno
国内500例の市販後調査の結果は、海外における大規模試験と遜色ない結果であった。

5. 1年間の心不全症状の推移
Etiologyに依らず1年間を通して心不全症状の改善を認め、1年時で器質的MRでは96.5%、機能性MRでは85.7%においてNYHA 2度以下を確保できた。

画像5 mizuno

まとめ
国内500例による市販後調査では、高い手技成功率と僧帽弁逆流の持続性が確認された。また、死亡、入院における予後評価では海外における大規模試験と遜色ない結果であった。今後、施設認定が拡大される予定となっており、日本全国においてこのような低侵襲治療が普及されることが期待されます。