構造的心疾患(SHD)カテーテル治療の多施設レジストリーグループ『OCEAN-SHD研究会』
Optimized CathEter vAlvular iNtervention Structual Heart Disease

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若手Drより 帝京のニューノーマル

2021年6月21日  著者:帝京大学 日置紘文  会員のつぶやき


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初めまして。帝京大学の日置と申します。志村先生からバトンを受け取って3回目のコラムを担当させていただきます。

はじめに簡単に自己紹介を。2007年に信州大学を卒業し長野県で多くの指導医からカテーテル手技の指導を受け2015年に帝京大学へ異動しTAVIを学び始め、現在帝京大学のストラクチャー関連業務を行っております。

 

さて、今回の僕のテーマは「ニューノーマル」になります。

皆さんも聞いたことがあると言葉かと思いますが、2020年にコロナが猛威を振るうようになって巷で言われるようになってきた言葉かと思います。実はこの言葉自体は少し前からあるようで、2000年初頭に世界中にインターネットが広がり、いわゆるネット社会が到来したことを受けて投資家のRoger McNameeがこれまでのビジネススタイルや経済理論が通じなくなることをニューノーマルとして表しています。社会に大きな変化が生じ、変化が起こる前には戻ることが難しくなり新しい常識が定着していくことを示します。本のサブタイトルをみるとgreat opportunitiesと書いてあるくらいなのでポジティブな表現なのかもしれません。

ニューノーマル

 

当然、医療の現場においてコロナは大きな変化をもたらしました。ほとんどはネガティブなものが多いかった・多いと思いますが、当院での個人的にはポジティブなものもありました。他の施設でも経験されたかもしれませんが、コロナが猛威を振るった初期は今のように術前PCRをとるということができなかったこともあり気管内挿管を必要とする全身麻酔は果たして安全か?というのが当院で議論されました。自分も麻酔科Drだったら被ばくリスクのあるような処置は安全の担保がされていなければやりたくないですし、至極当然な意見だと思っていました。それでも我々を含めTAVI施設には比較的治療を急ぐAS患者が次々と紹介されていたかと思います。当院ではこの状況を打開する手段として局所麻酔を用いたTAVIをルーチン化してみようという流れが一気に加速していきました。それまでにも症例は限定的でしたが静脈麻酔併用の局所麻酔TAVIは行っていました為技術的にも問題なく導入できました。ただ、全身麻酔の導入もかなり早かった事や全身麻酔の方が麻酔科の先生方が循環サポートに専念できるということで全身麻酔TAVIが主流になっていたのでpre-coronaの帝京TAVIスタイルでした。非常に一面的な部分しか見ていないですが、こういった変化もいわゆる「new normal」で個人的には組織的にも良い刺激になったのかなと感じました。

 

コロナ禍における医療現場のニューノーマルは非常にネガティブな事象を想起させてしまいますが、このネガティブな思いが蔓延し我々の気持ちが暗くならないよう少しでもポジティブな部分に目を向けて患者さんを笑顔にし続けていきたいですね。

 

P.S. オンラインで参加できる便利さは歓迎しますが、見知らぬ土地へ伺える現地参加型の学会が恋しい今日この頃です。