構造的心疾患(SHD)カテーテル治療の多施設レジストリーグループ『OCEAN-SHD研究会』
Optimized CathEter vAlvular iNtervention Structual Heart Disease

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Title
Performance and outcomes of the SAPIEN 3 Ultra RESILIA transcatheter heart valve in the OCEAN-TAVI registry
エドワーズ社の新しいデバイスSapien 3 Ultra RESILIAの弁機能に関する報告
About :
背景:経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)を受けた患者における最新世代のSAPIEN 3 Ultra RESILIA(S3UR)弁の性能に関するデータは乏しい。
目的:S3URの弁機能を含む臨床転帰を評価することを目的とした。
方法:連続したS3UR患者618例と、SAPIEN3(S3)を留置したTAVR患者8,750例の過去のOCEANレジストリデータを収集した。Prosthesis patient mismatch(PPM)を含む臨床転帰と血行動態を2群間、PSマッチングコホートで比較した。
結果:院内死亡,血管合併症,新規ペースメーカー植え込みの発生率はS3UR群とS3群で同等であった(すべてp>0.05)。しかし,両群ともPara-valvular leak(PVL)の程度には有意差がみられた(none-trivial:87.0% vs. 78.5%,mild:12.5% vs. 20.5%,≧moderate:0.5% vs 1.1%: 0.5% vs. 1.1%;p<0.001)、PPMの発生率(なし:94.3% vs. 85.1%、中等度:5.2% vs. 12.8%: 5.2% vs. 12.8%、重度:0.5% vs. 2.0%;p<0.001)。平均圧較差≧20mmHgの発生率はS3UR群で有意に低かった(1.6% vs. 6.2%;p<0.001)。血行動態は20mmと23mmのS3UR弁でより良好であった。この結果はS3UR患者とS3患者のマッチさせたコホート(n=618人/群)でも同様の結果であった。
結論;S3URはS3と同等の手技合併症を有するが、PVLの発生率は低く、弁機能は有意に優れていた。S3URの優れた弁機能は,特に弁サイズが小さい場合に顕著であり,TAVR後のバルーン拡張弁に残された問題を克服している。
上記が要旨ですが、S3URの特徴としては弁口面積が大きくなったというものではなく、弁を通過する際の圧較差が低下したことにより、連続の式で算出される弁口面積が大きくなったと推測されます。エコーによる圧較差が低下したことは臨床上の判断材料として分かりやすいパラメーターであるので、一般診療の現場では分かりやすいものになりました。狭小弁輪に対してのTAVI弁の違いが血行動態に与える影響は最近のトピックになっていますので、今後はS3URとほかのTAVI生体弁との比較試験に関心が集まると思います。
最後になりましたが、今回の論文ではOCEAN-TAVIに参加するすべての施設代表(PI)のお名前を掲載することができました。これは、これまでに積み上げてきたS3のデータに加えて、新規デバイスとして登場したS3URの比較試験であり、本邦におけるTAVIの歴史を刻むものだと思います。改めてお忙しい診療の中で日本から世界にデータ発信するという意思を共有して、データ収集やクエリ作業に対応してもらったすべてのOCEAN-memberの皆さんに心からお礼を申し上げます。