構造的心疾患(SHD)カテーテル治療の多施設レジストリーグループ『OCEAN-SHD研究会』
Optimized CathEter vAlvular iNtervention Structual Heart Disease

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若手Drより スイスベルンでの研究生活

2023年9月30日  著者:中瀬 将明(ベルン大学)  若手Dr.より会員のつぶやき


この度、富山大学田中修平先生より若手ブログのバトンをいただきました中瀬将明と申します。

簡単に自己紹介をさせていただきます。2016年に名古屋大学を卒業し、医師3年目の後期研修から三井記念病院にて循環器のトレーニングを開始しました。約4年半、主にPCI、SHD interventionに従事し、医師7年目の2022年10月よりスイスは首都ベルンにありますInselspitalというベルン大学付属病院のTAVIチームにResearch fellowとして赴任しております。

ベルンは首都と言えど、人口は20万人程度のこぢんまりとした町です。町全体が世界遺産に登録されているため、ライトアップされた旧市街の石畳の上を歩くだけで映画の中に飛び込んだような感覚になる素敵な雰囲気です。また治安がとても良く、人々はとても親切で、困った顔をしていると必ずと言っていいほど声を掛け、助けてくれます。そんなとても住みやすいスイスベルンですが、困ったことは物価の高さです。

渡欧前から覚悟はしていたのですが、今や先進国の中で最も物価が安い国の一つとなってしまった日本と、最も物価の高い国スイスの差は驚くべきもので、マクドナルドでビックマックを食べようものなら軽く2000円は超えてきます。先日は、電気の修理(室内照明の取り付け)を依頼したら5万円ほどでした。円安の進行、減っていく口座残高を見て鬱々とした気持ちにはなりますが、名だたるドクターと議論し、各国の熱意あるフェローと切磋琢磨しながら、新たな知見を生み出していく仕事は何事にも変え難い経験であり、金銭的な余裕が続く限りは留学生活は続けていきたいです。前任者の様に論文という形で良いアウトプットを出すことができれば、スイスフランで給与が貰える可能性もあり、その際はマクドナルドで好きなものを好きなだけ注文してやろうと思います。

タイトル:ベルン旧市街の街並み

最後になりますが、ベルン大学での研究生活について少しお話しさせていただきたいと思います。勤務は月曜日から金曜日の9時-17時で、土日、祝日は終日休みです。学会休暇を除き、年間4週間ほど長期休暇を取ることもできるため、ヨーロッパ各国への旅行も可能です。業務内容としては、リサーチをメインで行なっており、日本で未承認のデバイスを用いた手技などは見学するような形をとっています。リサーチアイデアに関しては、主に自分で発案し、事前解析を行い、結果を元に、ボスであるThomas Pilgrim先生と論文にできるかどうか相談します。ゴーサインが出れば、Clinical Trial Unitを呼ばれる主に統計学の専門家で構成されているベルン大学所属の研究機関に正式な統計解析を依頼し、それを元に論文を作成します。この機関は、我々が普段用いているデータベースであるBern TAVI Registryのマネジメントも行なっており、TAVI後のクリニカルイベントの収集も行なってくれております。これらの論文作成業務に加え、査読、スライド作成、多施設研究へのデータ提供、前向き研究のプロトコールの作成などもあり、充実した研究生活を送っております。First authorとして年間6本という目標を立てましたが、量に加えて質の良い論文を発表できるよう、また何より、帰国後、日本のSHD Interventionの発展に貢献できるよう引き続き頑張りたいと思います。

タイトル:夕刻時のキャンパス

タイトル:ジュネーブへの日帰り旅行