構造的心疾患(SHD)カテーテル治療の多施設レジストリーグループ『OCEAN-SHD研究会』
Optimized CathEter vAlvular iNtervention Structual Heart Disease

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北極星とコロナリーアクセス

2022年8月19日  著者:多田 憲生(仙台厚生病院)  SHDの最新話題TAVI


望遠鏡をのぞいて星や星雲を観察する天体観測は、みなさんも一度はされたことがあると思いますが、天体観測には”写真に撮る”という楽しみ方があります。写真で撮る天体観測は眼視よりも色が様々で、しかもはっきりと見えます。でも、星は暗いのでどうやって写真に撮るの?と思われるかと思います。それは、望遠鏡に取り付けたカメラのシャッターを3分とか、長いと10分とか開けっぱなしにして写真を撮るのです。そうすると次に来る疑問は、星って動いているよね?ってことになります。何分もシャッターを開けっぱなしにしたら星が点に映らないじゃないか、ということです。そこで登場するのが、赤道儀です。赤道儀は三脚と望遠鏡の間に固定するもので、ゆっくりと地球が回る速度で回転し、望遠鏡があたかも星を固定して見えるようにしてくれるのです。その赤道儀の回転する軸の中心に来るのが、北極星なのです。
TAVI後のコロナリーアクセスは、いままでperpendicular viewで見てきました。しかし、それではTAVI弁を横から見ているだけでTAVIの回転軸を見ていないのです。仙台厚生病院から報告したTAVI弁を上から見るen face viewを用いたTAVI後コロナリーアクセス(1)は、要するにTAVI弁を地球と見立てて、北極星からTAVI弁を見るコロナリーアクセスです。よく考えれば、TAVI術前のCTもまずはTAVI弁のアキシャル像を見ますし、TAVI術後コロナリーアクセスのために撮るようなCTもアキシャル像から見ますよね。それを透視で見れるのがdeep RAO cranialからTAVI弁をのぞいたen face viewなのです。
今まで見えなかったディープなTAVI後コロナリーアクセスの世界が見えてきますよ。
(1)Suguru Hirose, Yusuke Enta, Kazunori Ishii, Arata Inoue, Masaki Nakashima, Takehiro Nomura, Makoto Saigan, Norio Tada, En face view of the transcatheter heart valve from deep right-anterior-oblique cranial position for coronary access after transcatheter aortic valve implantation: a case series, Eur Heart J Case Rep. 2022 Feb 7;6(2):ytac059.