“世界一幸福な国” フィンランドでの留学生活を経て
2024年6月27日 著者:宮下 紘和(湘南鎌倉総合病院) 若手Dr.より/会員のつぶやき
今回札幌心臓血管クリニック 堀田先生より若手ブログのバトンをいただきました。
湘南鎌倉総合病院循環器科の宮下紘和です。
この様な機会をいただき、OCEANメンバーの皆様に感謝申し上げます。
私は2014年に金沢大学を卒業し、湘南鎌倉総合病院にて初期研修、後期研修医として勤務、後期研修の時期から当院循環器科に所属しております。
2020年4月から2022年3月の2年間、フィンランド、ヘルシンキ大学病院Heart and Lung CenterにResearchおよびClinical Fellowとして留学の経験を頂いておりました。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、丁度COVID-19が流行り出した時期であり、留学生活のはじめ約4分の3はフィンランド国外へ出ることが難しい状況でした。
そんな少し変わった状況下での留学でしたが、幸福度ランキング世界一と言われるフィンランドで暮らしてみて、ものごとの考え方や価値観を考えさせられることが数多くありました。

まずフィンランドで働いてみると、仕事とプライベートのバランスが大きく違うことに気づかされます。ヘルシンキ大学病院はフィンランド最大の都市ヘルシンキの唯一の大学病院であり、多くのカテーテル治療がこの病院に、いわゆるセンター化という形で集められておりました。私が主に所属していた部署はカテーテル治療を専門に行う科で、外来業務や病棟業務は少なかったのですが、ドクターは朝7時半ごろから働き始め、午後3時くらいにはオフィスから殆ど人がいなくなるという素晴らしい(?)環境でした。症例や論文の相談を午後3-4時くらいにボスの部屋に行っても部屋が暗くなっていて誰もいない、ということを何度も経験しました(笑)。仕事後はスポーツをしたり家族と過ごしたり、たまに飲みに行ったり(これは自分の場合はCOVID-19の影響で殆どありませんでしたが。。)とプライベート、特に家族と過ごす時間を大切にしておりました。
日本の一般とは異なるライフワークバランスで過ごせたことはいい経験でした。鎌倉に帰ってきてからは、さすがに15時に帰ることはできませんが、自分の時間や家族の時間を大切にしながら、仕事も効率よく行えるように日々励んでおります。
もう一点文化的な違いで言えば、フィンランドでは上下関係が厳しくなかったので、上司・部下、職種関係なく、また業者さんもフラットな立場で意見を言い合うことができました。TAVI日に当日の症例についてディスカッションするのですが、カンファレンスではボスの意見も自分の意見も業者さんの意見もほぼ平等に扱われます。言いたいことや考えていることを率直に上司に言っても(それが上司の意見とは異なっていたとしても)嫌な顔をされることはありませんでした。ボスから頼まれたスライドを作っていると、ここは日本じゃないから、ボスからの頼まれごとも、”Ei”(フィンランド語で”No”)といって断っても良いんだよ、ともよく言われたことを思い出します(笑)。

学術活動もさせていただきました。前任の森山先生が作り上げたTAVIデータベースを基に、データベースの打ち込み作業、項目追加などを行い、研究デザイン、データ解析、論文作成を行っていくのですが、ボスが割と放任主義だったので、やりたい研究を自由にやらせてもらっていました。カルテが全てフィンランド語だったことなど困難もありましたが、論文を1本も書いたことがなかった自分に、留学中に合計6本のPaperを書かせていただきました。ご指導いただいた先生方にはただただ感謝です。
また、このHelsinki大学病院と湘南鎌倉総合病院の”つながり”を後輩に繋げることができたことも一つの喜びでした。私の直後に当院から杉山耀一先生が2年間留学してくれて、現在は佐藤大介先生がヘルシンキで頑張ってくれております。今年の2月にはフィンランド国内の3大学病院から先生方が湘南鎌倉へ来てくださり、TAVIのワークショップを開催することもできました。遠く離れた2施設ですが、これからも良好な関係を継続できるように、活動を継続していく予定です。

留学中得た経験を糧にこれからも臨床・学術活動ともに精進してまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします。




