構造的心疾患(SHD)カテーテル治療の多施設レジストリーグループ『OCEAN-SHD研究会』
Optimized CathEter vAlvular iNtervention Structual Heart Disease

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代表挨拶

林田 健太郎

林田 健太郎Kentaro HAYASHIDA

慶應義塾大学病院 循環器内科Keio University Hospital

所属を超えて、専門医療の発展に貢献する

OCEAN-SHD研究会は、SHD (structural heart disease、心構造疾患)のカテーテル治療の分野において、我々の日々の臨床から得られた知見や新しい発見を日本から世界に向けて発信し、世界中の医師と共有していくことによって、医学の発展に寄与し、世界中の患者さんの治療成績を向上させることを目的として2013年に創設されました。

前身は、2011年頃のちょうど同時期にフランスに留学していた仲間、山本真功医師(現豊橋/名古屋ハートセンター)、渡邊雄介医師(現帝京大学)と共有していた2施設 (Institut Cardiovasculaire Paris Sud, Hôpital Henri-Mondor)データベースです。その当時まだ周術期死亡率が約10%と非常に危険性の高かったTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)をいかに安全に日本に導入するか、そのために今自分たちがフランスにいながらできることは何なのかを常に意識しながら、日本人の視点からデータ発信、英文論文発表を行って来ました。

3人の帰国後、2013年より本邦でもようやくTAVIの保険償還が得られたため、慶應義塾大学、豊橋ハートセンター、帝京大学に加え、新東京病院の4施設で初めてのOCEAN-TAVIとしての論文を発表し、2014年にCatheter Cardiovasc Interv誌に採択されています(収載は2016年)。その後小倉記念病院、済生会横浜東部病院、仙台厚生病院、湘南鎌倉総合病院が参加し、初期8施設としてすでに15 報以上の論文が採択されています。

2016年7月からは新しい仲間として、大垣市民病院、岸和田徳洲会病院、大阪市立大学、東京ベイ・浦安市川医療センター、富山大学の5施設が参加し、現在13施設で日本全体の3-4割の症例数を占めるレジストリーとなっており、2016年度の年間症例数は 1000例以上、2016年末日までに通算2000例以上が登録されています。

この研究会に参加している施設は、全て年間症例数が概ね50症例以上の経験豊富なhigh volume centerであること、一切招待ではなく自らの強い意志でこのレジストリーに参加していること、政治的なしがらみにとらわれず、常に患者さんにとって何がベストな治療なのかという視点からのみデータを発信し、世界の医療の発展に貢献していくという共通の「志」を持っている仲間です。

日本は海外に比べ、医療機器の承認が比較的遅いため、逆に欧米での黎明期の苦難に満ちた経験から多くを学ぶことができました。その結果日本での比較的良好な初期成績(周術期死亡率2%以下)を達成することができています。そしてこれからは、我々日本人独自の繊細なメンタリティーや器用さなどからこの治療をより進化・発展させ、日本から世界の患者さんのより良い医療に貢献していくことが重要であると確信しています。その世界に向けて発信していきたいという思いが“OCEAN”の名前に込められています。

我々は日本や世界中の患者さんがより良い標準化された医療を受けることができるように、常に我々の行っている医療を検証し、新しい知見を発信し、進化し続けていきます。

2017年1月吉日 林田 健太郎